HACCP
今回は食品衛生のお話。
どこのレストランでも衛生管理は必要不可欠ですが、実際にはどのように管理をしているのでしょうか。
食の安心安全が目的のこの分野では勿論アレルギーにも触れてますが、ここでは少し大きな範囲でリスクを考えてみます。
危険要因、ハザードから始めるHACCP
食に関するリスクをハザード(危険要因)として以下の3つに分類されます。
- 生物的ハザード
- 物理的ハザード
- 科学的ハザード
生物的ハザード
科学的ハザード提供までの工程中に汚染を受ける可能性がある微生物、ウィルス等
物理的ハザード
金属やガラスや硬質プラスティックなどの混入する可能性がある硬質異物=異物混入コンタミネーション
科学的ハザード
原料に残っていた農薬や誤って混入する可能性がある化学物質
そしてこれらを防ぎ、除去し、軽減する措置をCCP(重要管理点)として対策を設けます。
具体的には管理する際のやり方や温度の設定など幅広く数値やハッキリした手法で示す事です。
以上の危険ハザード(Hazard)に対して、
分析(Analysis)して、重要管理点(Critical Control Point)を設定、実行していく仕組みをHACCP(ハサップ)といい食品衛生の世界や公共機関からも積極的に推進されてます。
現在沢山の起業で採用されオペレーションを組まれてるHACCPを元に食品衛生の話しをしようかと思います。
生物的ハザード
食に関するリスクをハザード(危険要因)として3つに分類されるというお話をしました。
その一つ目が生物的ハザード=提供までの工程中に汚染を受ける可能性がある微生物、ウィルス等でした。
これにより何が起きるか。
食中毒ですね。
食中毒は身体にとって有害な微生物、ウィルスを口にすることで起きる健康被害です。
個人の食中毒だとまだ原因の推測が難しいですが、多くの人が一度に経験する集団食中毒であればレストラン等が原因である可能性が非常に高く。
ホテルスタッフ全員を含め早急な対処が必要になります。
特にノロウィルスの場合はその感染力と毒性の強さから最も注意の必要なウィルスです。
最悪な場合、営業停止になる可能性もあります。
その他にも細菌類では
黄色ブドウ球菌・腸管出血性大腸菌・ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ・病原性大腸菌・サルモネラ・カンピロバクター等、
ウィルスではノロウィルスの他、アデノウィルス、サポウィルス等と実に様々な原因菌やウィルスがいるのが分かりますね。
対応策を練る上で知っておきたいのが、これら原因菌やウィルスがどのような環境でその猛威を振るうのかと言う事。
ここではまず温度に注目します。
細菌が増殖しやすい温度帯があり、摂氏5°から63°がその危険温度帯と言われてます。さらに摂氏30°から45°は最適増殖温度と呼ばれ最もさせたい温度帯です。
この温度帯5°から63°を如何に避けて食材を扱う事がとても大事な事です。
物理的ハザード
物理的ハザード、異物混入のお話です。
英語でContaminationは本来もっと広い意味でも使われますが、日本では主に物理的ハザードの異物混入の場合によく略して”コンタミ”と呼ばれます。
金属やガラスや硬質プラスティック、またはその破片などが提供される食品に混入してしまう危険ですね。
お客さんの口に入り口内を切ったり、歯が欠けたなどが良くあるケースです。
因みに髪の毛や糸くずなども異物混入ですが、物理的と言うよりはそこに付着している菌や化学的な薬品などの危険性にあたるのでここでは物理的ハザードに含めませんが予防策は同じです。
物理的ハザードの原因は提供される食品または食材の製造ルートを全て調査する必要がある為、一概にその場では判断は出来ません。
なので発生時は同じ食品を回収し、製造されている工場や調理場、提供時のサービススタッフまで調査の範囲を広めて対応します。
予防策は食材の製造ルートでお客さんの口に入るまでの環境の整理・整頓・清掃を保つ事です。
瓶や割れ物の置き場は食材の常に下になる様に配置して、食器類の破損は小さなチップ(欠ける事)でも廃棄する様にします。
また洗い場で金タワシを禁止なども環境整備に有効です。
個人個人は身だしなみに気を付け余計な持ち物を持たない様にする。
盛り付け後はラップやカバーを全ての食材に使用する。
移動毎に目視のチェックをセクション同士がする。
提供直前のチェックをする。
ここまでの工程を経ても全ての可能性をゼロにする事は不可能ですが、リスクを少なくする事は可能です。
確認や安全対策を怠らずに業務を遂行する事で安全配慮の義務を果たす事が出来ます。
化学的ハザード
今回は三つ目のハザード、化学的ハザードのお話です。
薬品や洗浄剤、農薬などの「化学物質」が誤って食品中に混入し、健康危害を及ぼしてしまう危険のことを言います。
一番多くの事例は誤って違う薬品を取り扱ってしまった。気付かずに食品に入れてしまった。と言う初歩的なケース。
そして使用後の洗い残し、すすぎ不十分が次にくる原因でもありました。
結構言い訳の出来ない確かなミスがありますね。
予防策としては
保管方法や使用方法の徹底です。
保存場所は食品に使用する薬剤と機材に使用する薬剤とを別にします。
そして全ての薬剤に製品名が正しく、そして大きくラベルされている様にしましょう。
使用する時は手袋やゴーグルの着用をする事で自身にとっても安全に使用出来ます。
使用の度に何をどの容量で使用したかの記録も残します。
万が一の場合に備えて薬品に関する製品のデータをファイリングしいつでも閲覧出来る様にします。
これによって例えばゴーグルを外した時に誤って薬剤の一部が目に入ってしまった⁉︎と言う時の薬品別対処法を参照出来ます。
あるいはそのページを持って病院に受診してもらう等の対処が出来ます。
薬品が保管されている貯蔵庫には鍵を掛けて
誰かいつ入って出たかを記録出来る様にします。これはISO22002で定められた項目でもあります。
薬品を使った犯罪防止策でもあります。
ここまで見ると化学的ハザードは、生物的ハザードと同じく被害の大きさが物理的ハザードに比べて際立ちますが、さらに高い確率で人為的なエラーに起因している事が分かります。
ここも細心の注意を払って扱いたいですね。
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